🌱 やさしい解説シリーズ 調剤薬局の先生方へ。「薬局のサイトに何を書けばよいのか」を、法令と制度の側から整理します。
薬局のサイトには、実は明確な「土台」があります
クリニックのホームページには医療広告ガイドラインという分かりやすい基準があります。では薬局はどうか。
まず前提として、薬局のホームページは医療法の広告規制(医療広告ガイドライン)の対象ではありません。医療法の広告規制が対象とするのは病院・診療所であって、薬局は含まれないためです。
「ではルールがないのか」というと、そうではありません。薬局には別の2つの軸があります。
| 軸 | 内容 |
|---|---|
| ① 薬機法 | 誇大広告の禁止。医薬品に関する表現の枠 |
| ② 薬局機能情報提供制度 | 開局時間・対応業務などを都道府県に報告し、自らも閲覧に供する義務がある |
このうち ② が、薬局サイトを考えるうえで意外に効いてきます。
① 薬機法 ― 「効きます」と言い切らない
医薬品医療機器等法(薬機法)には、誇大広告の禁止が定められています。医薬品の効能・効果について、事実に反する表現や、誇大な表現をしてはならない、という枠組みです。
薬局のサイトで気をつけたいのは、たとえば次のような場面です。
- 取り扱っているサプリメントや市販薬について、医薬品的な効能を断定する
- 「この症状にはこれ」といった、診断・治療をうたうような書き方
- 特定の商品について、承認された効能の範囲を超えた説明をする
薬剤師の先生方は日常的に意識されている領域ですが、ウェブサイトになると、つい売り場のPOPのような書き方をしてしまうことがあります。紙面と同じ基準で見直すのが安全です。
ℹ️ なお、薬局のウェブサイトは薬機法の広告規制のほか、景品表示法などの一般的な広告規制も受けます。
② 薬局機能情報提供制度 ― ここが薬局サイトの土台
こちらのほうが、実務上は重要かもしれません。
薬局機能情報提供制度は、薬機法第8条の2に基づく制度です。利用者が薬局を適切に選べるように、という趣旨で設けられています。
仕組み
- 薬局開設者が、都道府県知事に薬局機能情報を報告する
- 新規報告(開設許可を受けたとき)
- 定期報告(1年に1回・1月1日時点の状況)
- 変更報告(内容に変更が生じたとき)
- 報告はG-MISを通じて行われる
- 都道府県が、医療情報ネット(ナビイ)で公表する
🔑 見落とされがちな点 ―「自ら閲覧に供する」義務
この制度には、報告するだけでなく、報告した事項を自ら患者等の閲覧に供することも義務づけられています。
つまり 「都道府県に出したから終わり」ではなく、薬局自身が利用者に見せられる状態にしておく必要があるということです。
ホームページは、この義務を果たす最も自然な手段のひとつです。 掲示だけで対応している薬局も多いと思いますが、サイトがあれば、来局前に確認してもらえます。
だから、薬局サイトの出発点は「公表情報との一致」
ここから導かれる結論はシンプルです。
報告・公表されている内容と、自局サイトの記載が食い違わないようにする。
食い違いは、意外と簡単に生まれます。
- 開局時間を変更したが、サイトだけ古いまま
- 在宅対応を始めたが、サイトに書いていない
- 逆に、サイトには書いてあるが報告内容には反映されていない
利用者から見れば、どちらが正しいのか分からない状態です。制度の趣旨(適切に選べるようにする)からも望ましくありません。
サイトに載せたい項目
薬局機能情報として報告する内容と重なる部分を中心に、次のあたりが基本になります。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 基本情報 | 名称・所在地・連絡先・開局時間 |
| 受付 | 処方箋の受付時間、時間外の対応、駐車場の有無 |
| 体制 | 在宅対応、無菌調剤、かかりつけ薬剤師、健康サポート、地域連携 |
| 対応できること | 一包化、麻薬、医療的ケア児への対応 など |
| 設備・アクセス | バリアフリー、最寄り駅からの経路 |
「うちは何ができる薬局なのか」を、来局前に分かるようにする——これが薬局サイトの中心的な役割です。
電子処方箋・オンライン服薬指導をどう書くか
近年、患者側から関心が高いのがこの2つです。
電子処方箋
対応している薬局は、対応している旨を明記するだけで十分な情報になります。患者は「自分がかかっている医療機関が電子処方箋を出した場合、この薬局で受けられるのか」を知りたいだけだからです。
未対応なら、無理に書く必要はありません。対応していないのに「対応」と書くのが最も避けるべきことです。
オンライン服薬指導
こちらは手順を書くことに価値があります。
- どうやって申し込むのか
- 事前に処方箋をどう送るのか
- 薬はどう受け取るのか(配送か、来局か)
- 費用はどうなるのか
「できます」だけでは利用されません。 患者にとっては初めての体験なので、流れが見えて初めて使う気になります。
更新しやすさが、実は一番大事
ここまで挙げた情報は、変わります。
年末年始の休業、学会や研修による臨時休業、近隣医療機関の休診に合わせた開局時間の変更、新しい体制への対応——。
変更のたびに制作会社へ依頼して数日待つという運用だと、結局サイトが古いまま放置されます。そして古い情報は、公表情報との食い違いを生みます。
薬局のサイトを作る・見直すときは、デザインより先に 「開局時間とお知らせを、自分たちで直せるか」 を確認することをおすすめします。
まとめ
- 薬局のホームページは医療広告ガイドラインの対象ではない(対象は病院・診療所)。ただし薬機法の誇大広告の禁止は関係する。
- 薬局には薬局機能情報提供制度(薬機法第8条の2)があり、報告義務に加えて報告した事項を自ら閲覧に供する義務がある。
- したがって薬局サイトの土台は 「公表されている情報と自局サイトの記載を一致させること」。
- 載せるのは、開局時間・処方箋受付・体制(在宅/無菌調剤/かかりつけ薬剤師)・対応できること・アクセス。
- 電子処方箋は「対応の有無」を明記、オンライン服薬指導は「手順」まで書くと使われる。
- 情報は変わる。自分たちで更新できる形にしておくことが、結果的に制度への適合にもつながる。
学びを深める
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出典: 厚生労働省 医療情報提供制度・薬局機能情報提供制度 / 医薬品等の広告規制
MEDICT は、医療機関・調剤薬局・施術所のホームページを制作しており、制作の段階で表現面と、公表情報との整合を確認します。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は最新の法令・通知および所轄行政の判断によります。